日本消化器内視鏡学会雑誌
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潰瘍形成型十二指腸乳頭部癌の検討
―とくに巨大腫瘤+平皿状潰瘍型(Huge Saucer-like Protruding Type)について―
神沢 輝実田畑 育男伊沢 友明江川 直人副島 靖雄田島 強岡本 篤武深山 正久滝澤 登一郎小池 盛雄
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1988 年 30 巻 10 号 p. 2244-2248_1

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抄録
当院で切除された十二指腸乳頭部癌26例を腫瘍の肉眼型より腫瘤型11例と潰瘍形成型15例に大別し,潰瘍形成型を中心にその臨床病理学的特徴を腫瘤型と比較検討した.潰瘍形成型の腫瘍の平均最大径(3.1cm)は,腫瘤型(1.8cm)に比し大きく,膵浸潤の有無に差はないが,早期癌4例は全例腫瘤型であった.リンパ節転移は潰瘍形成型(60%)が,腫瘤型(28%)より明らかに高率であった.組織型は腫瘤型に乳頭腺癌(73%)が多く,潰瘍形成型の半数は管状腺癌(53%)であった.潰瘍形成型のなかで,主乳頭に限局する小潰瘍型は比較的浅い深達度であった. 腫瘤潰瘍型のなかで,腫瘍径6.0cmも4.5cmの大きな分葉状腫瘤で中央に平皿状潰瘍形成を有した2例は,組織学的には乳頭腺癌で大きさのわりに膵浸潤を認めず特異な乳頭部癌と推定され,巨大腫瘤+平皿状潰瘍型(Huge Saucer-like Protruding Type)と呼称しその特徴について記した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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