抄録
Nd:YAGレーザーの照射条件を設定することにより,細径でシングルチャンネルである胆道鏡下での局所温熱療法(レーザーサーミア)を試みた.症例は78歳女性で食欲不振と黄疸を主訴に来院.PTCDを行い,下部胆管癌による完全閉塞と診断した.心不全により手術不能のため,内瘻化を目的としてPTCS下にレーザーサーミアを施行した.レーザーサーミアは1.8mm導光ファイバーとinterstitial probeを使用して,照射出力2.0W,最初の90秒は連続照射,その後パルス照射の条件で,15分間,1,085ジュールを照射した.レーザー照射直後には,特に合併症もなくドレナージチューブの十二指腸への留置が可能であった.さらに照射4日後には,腫瘍の一部が脱落を示した.温度センサーを用いない照射条件設定によるレーザーサーミアは,PTCS下での適応が可能であり,胆道癌に対して有効な治療法になり得るものと考えた.