日本消化器内視鏡学会雑誌
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胆道ファイバースコープ下レーザーサーミアにより治療した下部胆管癌の1例
印牧 直人岸 克彦諸岡 隆Chris BRÜNGER加藤 肇服部 和彦
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1989 年 31 巻 5 号 p. 1297-1303_1

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抄録
 Nd:YAGレーザーの照射条件を設定することにより,細径でシングルチャンネルである胆道鏡下での局所温熱療法(レーザーサーミア)を試みた.症例は78歳女性で食欲不振と黄疸を主訴に来院.PTCDを行い,下部胆管癌による完全閉塞と診断した.心不全により手術不能のため,内瘻化を目的としてPTCS下にレーザーサーミアを施行した.レーザーサーミアは1.8mm導光ファイバーとinterstitial probeを使用して,照射出力2.0W,最初の90秒は連続照射,その後パルス照射の条件で,15分間,1,085ジュールを照射した.レーザー照射直後には,特に合併症もなくドレナージチューブの十二指腸への留置が可能であった.さらに照射4日後には,腫瘍の一部が脱落を示した.温度センサーを用いない照射条件設定によるレーザーサーミアは,PTCS下での適応が可能であり,胆道癌に対して有効な治療法になり得るものと考えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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