日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による膵袋胞性疾患の検討
末川 清康松元 淳中塩 一昭嘉川 潤一有村 文男坂元 剛志米田 泰一冨宿 巧永井 志朗村永 知子湯通堂 純郎有馬 暉勝渋江 正山口 淳正田中 貞夫納 利一
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1993 年 35 巻 10 号 p. 2438-2446_1

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抄録
 術前に超音波内視鏡(以下EUS)を施行した膵袋胞性疾患24例(仮性袋胞6例,貯留袋胞2例,粘液性袋胞腺腫9例,袋胞腺癌4例,漿液性袋胞腺腫3例)を対象に,質的診断におけるEUSの有用性を検討した.EUSは腹部超音波(以下US)に比べ,膵袋胞の内部構造,袋胞壁の性状をより明瞭に描出することができ,摘出標本とほぼ一致した形状が描出可能であった. EUS像を隔壁と内腔突出像の有無で(1)Ia型:単房性腔非突出型,(2)Ib型:単房性内腔突出型,(3)IIa型:多房性内腔非突出型,(4)IIb型:多房性内腔突出型の4型に分類した.EUS画像における隔壁および内腔突出像またはいずれか一方を認める袋胞即ち,Ib型,IIa型,IIb型を腫瘍性袋胞と診断すると,その正診率は92%と極めて高率であった.さらに袋胞壁の性状や袋胞の大きさを加味することにより袋胞の質的診断能が向上するものと思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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