日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(症例報告)
慢性疾患ケアモデルの適用によりAmbulatory Care-Sensitive Conditionsにある高齢心不全患者の入院を減じた1例
西岡 大輔栄原 智文
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2017 年 40 巻 3 号 p. 153-155

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抄録

緒言:Ambulatory Care-Sensitive Conditions (ACSCs)とは「適切なタイミングで効果的なケアをすることで入院を減らすことができる状態」のことであり,ACSCsである患者の入院回避は重要である.ACSCsの高齢心不全患者に慢性疾患ケアモデルを適用し再入院までの期間を延長しえた事例を報告する.

症例:92歳男性.慢性心不全のために定期通院しており,2014年4月まではコントロール良好であった.その後の入院頻度が増えたため,2015年2月より慢性疾患ケアモデルを適用した.その結果,心機能は継時的に増悪していたにも関わらず,再入院までの平均日数が適用前後で30.5日から64.3日と延長した.

考察:利尿剤のスライディングスケールを用いた治療は,欧米では慢性疾患ケアモデルに基づき実施されている.慢性疾患ケアモデルのもとでフロセミドのスライディング療法を開始したことでACSCsにある患者の再入院までの期間が延長できた.

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© 2017 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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