抄録
一般に濃厚塩類水溶液では、平衡定数は活量という概念を使用して表す。それは水溶液中ではイオンが水和しているうえ、溶質-溶質間相互作用が無視できないからである。含水鉱物が晶出する際は、第一近似として、このイオンの水和圏内の水分子を取り込んで結晶すると考えられるが、含水鉱物間相互の同位体分別を地球化学的に理解するためには、水蒸気の状態は水素結合が無く単分子なので、水蒸気を基準にした含水鉱物-水蒸気間の同位体分別係数を求めることが有効であると考えている。本講演では含水鉱物として、結晶水和物を取り上げる。