抄録
福島第一原子力発電所事故によって環境中にどの程度放射性物質が放出されたか、また、どこにどのように移行していくかを明らかにすることは、喫緊の重要な課題である。科研費新学術領域研究(放射能環境動態; ISET-R)の計画研究のひとつである海洋班では、海洋および海洋底における放射性物質の分布状況、要因を把握し、外洋まで含め、海洋および海洋底にどの程度放射性物質が分布しているか、その物理、化学、生物過程を細密に調査し、モデル化を図ることを目的とした。(1)海水中の放射性セシウムの分布、(2)海水中の3H、90Sr、129I、Pu同位体の分布、(3)海底堆積物中の放射性セシウムとPu同位体の分布、(4)粒子による放射性セシウムの沈降過程、(5)海洋における放射性物質の移行過程のモデル化、について得られた研究成果を報告する。