抄録
最終氷期には,北半球を中心として,ダンスガード・オシュガーイベントと呼ばれる数百から数千年スケールでの周期的な気候変動が起きていた.しかし,この急激な気候変動イベントに対し,南大洋太平洋セクターがどのように応答したかは,十分なデータセットが得られていないため,詳細には理解されていない.そこで,本研究では,海洋研究開発機構の「みらい」MR-08-06次航海においてドレーク海峡の水深864m地点(55°42’S, 66°08’W)で採取された海底堆積物試料(PC09コア)を用い,浮遊性有孔虫Neogroboquadrina pachyderma(s)の殻のMg/Ca比水温計により,最終氷期から過去8万年間の南大洋太平洋セクターの水温復元を行い,氷期南大洋太平洋セクターの応答を解析した.