日本地球化学会年会要旨集
2016年度日本地球化学会第63回年会講演要旨集
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G12 初期地球と生命起源の地球化学
紫外線およびガンマ線照射によるアミノ酸のエナンチオ過剰の創生と伝播
*鈴木 菜摘高橋 淳一依田 功加藤 政博癸生川 陽子小林 憲正
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p. 212-

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抄録

生命の起源を探る上で、地球生命を構成するアミノ酸の非対称性が大きな問題となる。宇宙空間で有機物が非生物的に合成され、隕石等と共に地球に到達してそれが生命の材料となった可能性が考えられるが、非生物的に合成されたアミノ酸はラセミ体である一方、地球生命の基本を成すタンパク質は基本的にL-体アミノ酸で構成されている。隕石中の一部のアミノ酸にL-体過剰が報告されたことから、宇宙環境で何らかの物理的不斉が寄与した可能性が考えられる。ただし、L-体過剰が見つかっているのは、イソバリン等の非タンパク質アミノ酸に限られる。本研究では、L-体過剰イソバリンに無偏光γ線を照射し、生成するタンパク質アミノ酸のD/L比を測定した。すると、生成したアラニンはラセミ体であり、今回の結果から、星間のイソバリン等のエナンチオ過剰が、無偏光のγ線による分解によりタンパク質アミノ酸に直接伝播した可能性は低いといえる。

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