主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
回次: 67
開催日: 2020/11/12 - 2020/11/26
p. 44-
海水中の溶存鉄の大部分は有機錯体鉄として存在すると考えられている。しかし、還元反応により生じる二価鉄(Fe(II))は、好気的環境ではその半減期は極めて短いものの有機錯体鉄よりも生物利用能が高く、海洋の鉄循環に重要な影響を与える。本研究では、東シナ海陸棚斜面域の鉄の化学的存在形態を把握するためFe(II)の分布と半減期を調査した。海水試料は2019年7月の長崎丸航海中、東シナ海陸棚斜面域の4測点でクリーン採水を実施して得た。現場のFe(II)は日中の表層で極大を示し、クロロフィル極大層以深でも検出された。PARとFe(II)の関係から、日中表層で見られたFe(II)濃度極大は光化学反応に起因すると考えられた。Fe(II)半減期は深度と共に長くなる傾向を示したことから、亜表層で検出されたFe(II)は有機物分解や還元環境下の堆積物より供給されたFe(II)が保存された影響と考えられた。