抄録
島根県松江市宍道町宍道高校付近に分布する中期中新世布志名層下部よりタコブネ類化石Mizuhobaris izumoensis(Yokoyama)が連続的に比較的多く産出した.これらの産出層準の堆積環境を明らかにするために,微化石を検討した結果,20種の貝形虫化石と12種の浮遊性有孔虫化石が産出した.これらの保存良好な微化石群集は,調査地点の環境が冷温~中間温帯のやや閉鎖的な環境であったことを示す.以上のことから,M. izumoensisの産出は,その産出地点が当時必ずしも暖流の影響を強く受けていた証拠にはならないことを示唆する.