2013 年 82 巻 3 号 p. 123-132
未だに世界中の人々を死に至らしめる最も大きな原因は感染症であり、病原性マイコバクテリアの代表である結核菌の感染も再び猛威を拡げ、感染症研究に大きな期待が掛けられている。結核菌感染症のなかでも特に肺結核はその発症頻度が高く、しばしば致命的な疾患に陥るにもかかわらず、肺における感染防御メカニズムは不明瞭な点が多い。この結核菌に対する免疫監視メカニズムと結核菌の病原因子の相互作用を理解し、結核菌感染症における免疫応答の分子基盤を整理および再構築することが、免疫制御による結核の予防ならびに治療法の開発に繋がると考えられる。本稿では、結核菌感染症における病原体側あるいは宿主側の視点からの感染制御メカニズムを概説すると共に、最近注目されているIL-17A/IL-23系の役割について解説する。