2017 年 2017 巻 27 号 p. 337-342
シンガポールの市街中心部には,戦没者記念碑が立つ.第2次世界大戦中,シンガポールを占領した日本軍は,抗日分子の排除を企図して,5万人ともいわれる華僑を粛清していた.1962年になって,粛清された華僑犠牲者の遺骸が発掘されたのを契機とし,日本軍占領下に殺されたすべての一般市民を弔うための慰霊碑が求められ,1967年に落成した.市民による抗議運動の高まりを受けて,日本は同年にシンガポールと準賠償協定を結んだが,戦争責任を公式に認めるものではなかった.戦没者記念碑は,多民族国家シンガポールの象徴であるが,日本は今もなお,それを直視することができないでいる.