生体捕獲したエゾシカの短期飼育を行っている知床ファームにおいて、放牧している飼育ジカの乾物摂取量(DMI)および粗蛋白質摂取量(CPI)の季節推移を調査した。6月から11月まで計9回、刈り取り前後差法によって放牧草の摂取量を測定した。補助飼料のビートパルプとデンプン粕のDMIとCPIも測定した。調査開始時の飼育ジカは140頭であり、順次出荷し調査終了時は80頭であった。放牧草の乾物(DM)含量は22.2-29.7%FMであり、9月以降高くなった。粗蛋白質(CP)含量は6月と10月が21%DM台であり、8月にピーク(25.1%DM)に達した。放牧草のDMIとCPIに季節変動がみられ、DMIとCPIは8月と10月に増加した。補助飼料と放牧草合計のDMIとCPIは8月と10月で高く、養分要求量を満たした。特に、8月と10月のCP充足率は放牧草のみで90%を超えたことから、補助飼料のCPIは過剰であり、補助飼料のCP含量の低い安価な飼料への変更が可能であった。