保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
実践報告
ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosusの大規模ねぐらのある人工洞穴へのバットゲート設置とその後の経過
安井 さち子野原 良太上條 隆志繁田 真由美繁田 祐輔三笠 暁子浅田 正彦中村 光一朗
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2012 年 17 巻 1 号 p. 73-80

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抄録
ユビナガコウモリの大規模ねぐらのある人工洞穴(地下工場跡)において安全対策とコウモリへの攪乱防止のため、フェンスタイプのバットゲートが設置された。設置されたバットゲートがコウモリ類に与える影響を検討することを目的とし、バットゲートの設置前後における洞穴の利用個体数等を比較した。その結果、ゲート設置前後でユビナガコウモリの個体数に差があるとは認められなかった。また、経年的な個体数の増減の傾向もあるとは認められなかった。本洞穴におけるバットゲート設置による利用個体数への影響は小さかったと考えられ、本事例ではバットゲートはユビナガコウモリに悪影響を与えない有効な安全対策と言える。しかし、他の生息洞穴でバットゲートを適用するためには、異なる構造のゲートについても、コウモリへの影響を評価する必要がある。
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© 2012 一般社団法人 日本生態学会

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