2016 年 24 巻 p. 74-78
マイクロ流体デバイスによる脂質ナノ粒子の作製法は,従来法と比較すると,粒子サイズと粒径分布の制御,簡便,作製時間など多くの利点を持っている.しかし,流路内で形成される粒子の形成メカニズムが明らかになっていない.脂質ナノ粒子の形成メカニズムを解明することにより,粒子サイズおよび粒径分布を精密に制御できるようになることが期待される.本研究では,マイクロミキサーを組み込んだマイクロ流体デバイスを作製し,原料溶液(脂質/エタノール溶液と生理食塩水)の混合状態の観察および作製された脂質ナノ粒子の粒径および粒径分布の測定を行った.これらの結果より,マイクロ流路内で作製される脂質ナノ粒子の形成には,溶液同士の完全混合よりも,エタノールを一定の濃度まで急激に希釈することが重要であることを明らかにした.