2016 年 24 巻 p. 119-124
ある種の高分子微粒子は界面活性を示すことから,界面活性剤よりもハンドリングの容易な界面活性材料であるといえる.そこで本研究では,poly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAM)を用いることで温度応答性を有する界面活性マイクロゲルの開発を試みた.懸滴法によってPNIPAMマイクロゲル分散液の表面張力測定を行ったところ,25°CにおいてPNIPAMマイクロゲル分散液の表面張力は水よりも低いこと,すなわち界面活性を示すことが分かった.次に,PNIPAMマイクロゲル分散液に窒素を通気することで発生する泡の安定性を検討した結果,25°Cでは安定な泡が発生するが,60°Cでは泡は発生しなかった.さらに,25°Cで発生した泡は60°Cにすると直ちに消泡することも確認された.これより,PNIPAMマイクロゲルは温度応答型の界面活性能を有することが明らかとなった.