2019 年 27 巻 p. 35-41
本研究では,原料溶液に液相法で合成した低純度,低結晶な銀粒子を噴霧加熱することによって高純度,高結晶化させる検討を行った.噴霧乾燥により瞬間的に高温場で銀粒子(幾何平均径dp = 1.01 μm,幾何標準偏差σg = 1.22,結晶子径dc = 22 nm)を噴霧加熱することで,噴霧前の粒子径を維持したまま,銀粒子の結晶性を向上できることが明らかとなった.特に,500°Cでの噴霧加熱により,粒子径や分散性を維持した状態(dp = 0.92 μm, σg = 1.24)で,結晶子径のみを40 nmまで増加できることが明らかとなった.さらに,体積抵抗率は噴霧乾燥前の銀粒子(6.4 × 10–3 Ω·cm)と比べて噴霧加熱後の銀粒子は,180分の1まで低下(3.6 × 10–5 Ω·cm)した.これは,銀粒子の結晶性の向上,粒子内部の空隙の減少(密度向上),銀粒子の純度向上が原因だと考えられる.