2019 年 27 巻 p. 42-47
メカノケミカル重合法は,粉砕操作により生じる粉体破断面の活性点を利用した重合反応であり,粉砕された無機表面をほぼ完全にポリマー被覆できる方法である.そこで,現在リサイクル達成率の低い自動車の廃ガラスに着目し,これをメカノケミカル重合処理により,シリカフィラーとして再利用することを考えた.我々は最近,遊星ミルのような粉砕能力の高い粉砕機でメカノケミカル重合反応を行うことにより,水溶媒中においてポリマーが生成することを見出した.そこで,水溶媒を用いた湿式粉砕によるポリマー被覆シリカフィラーの調製について検討した.その結果,廃ガラスの表面をポリマーでコーティングされたシリカフィラーの調製に成功した.したがって,水溶媒中において廃ガラスの粉砕により,メカノケミカル重合反応の進行が確認された.また,原料の粒子径によらず,生成物の粒子径はほぼ200 nm程度であった.