2019 年 27 巻 p. 70-75
我々の社会には,工場の稼働などによる工事振動や道路を通過する車両による交通振動などの様々な環境振動にあふれている.これらの振動エネルギーは捨てられることが多く,日常生活においては公害として扱われることも多い.このような観点から,近年,これらの環境振動を利用した科学技術が発展してきている.また,粉体層に垂直振動を与えると,振動数や振幅に固有の模様が現れる.このような粉粒体のパターン形成に関して,パターンの挙動や性質,発生メカニズムを理解するための研究は多くある.一方で,粉体層の時空間パターンを利用して生じる物質輸送など,粉粒体層上における物体の動的現象を報告した例は多くない.本研究では,様々な粒子径をもった粉粒体層を加振させ,その上に様々な構造をもつ物体を設置したときの運動を観察し,それらの結果から,粉粒体の運動と物体の運動の関連性を考え,物体の運動メカニズムを考えた.