2021 年 29 巻 p. 23-29
本研究では,高分子ゲル内部で金属酸化物ナノ粒子を合成し,浸漬温度,ゲル組成,初期金属イオン溶液濃度,金属イオンのドープが粒子生成や光触媒特性に与える影響を検討した.浸漬温度を上昇させると金属水酸化物の酸化反応が促進されて触媒活性が増加するが,上昇させすぎると粒子の成長や凝集が生じてしまい触媒活性は低下した.また,ゲル組成を変えて高分子鎖のネットワーク密度が密になるほど粒子の成長や凝集を抑制され触媒活性が増加することが明らかになった.さらに初期溶液濃度が高いほど粒子含有率が高くなり,触媒活性が増加する一方で,濃度が高すぎると膨潤度が低下して金属イオンの取り込み量が低下して粒子含有率が低くなり,触媒活性が低下した.また,他の金属イオンをドープすると異なるイオン半径の影響による平均粒子径の減少や,ドープした金属イオンによる電子と正孔の再結合の抑制により触媒活性が増加する可能性が示唆された.