2021 年 29 巻 p. 36-40
粉体プロセスにおける粒子の付着・堆積は,製品の品質および生産性の低下を招く原因となる.本研究では,流体や機械的外力を用いずに,粒子の帯電と運動を同時に制御して堆積粒子を除去する手法を確立するため,絶縁板に堆積させた誘電性粒子を上向きの静電場と紫外線照射によって帯電・浮揚させる実験を行った.紫外線が照射された最上層の粒子は,光電子放出によって正に帯電し,クーロン力によって浮揚した.浮揚粒子のフラックスと運動および各浮揚粒子の帯電量を求めた結果,粒子層と浮揚粒子から放出された光電子が光電子雲を形成し,粒子の帯電量を変化させるため,浮揚粒子の約40%が浮揚直後に降下することが分かった.さらに,紫外線照射後に上向きの電場を印加すると,光電子雲は形成されず,全ての粒子が途中で降下せずに浮揚した.また,粒子の帯電量増加によって,より多くの粒子が浮揚したが,継続的な浮揚はみられなかった.