2023 年 31 巻 p. 65-68
mRNA封入脂質ナノ粒子(mRNA-LNPs)はmRNA医薬のための基盤技術であり,mRNAワクチンにも既に応用されている.mRNA-LNPsの吸入剤への応用は効果的な呼吸器感染症ワクチンの開発において有用な戦略である.そこで,本研究ではmRNA-LNPsの粉末吸入製剤化に取り組んだ.スプレフリーズードライ(SFD)法により粉末製剤化し,粉体特性および,培養細胞におる機能評価を行った.その結果,吸入剤に適した粉体が得られ,ある程度の機能は保持されていた.一方で,凍結時の氷晶によりmRNAのLNPsからの漏出が起こり,機能低下を起こしていることが示唆された.そのため今後は,mRNA-LNPsの構造を保持したまま粉末製剤化する技術の開発が期待される.