2025 年 33 巻 p. 66-69
現在,脳疾患に対する医薬品開発における重要な課題の一つは,脳への薬物移行性である.鼻腔は脳脊髄液あるいは脳組織との間に直接的な薬物移行経路の存在が指摘されており,脳への有効な送達部位として注目されている.また,鼻腔における投与剤形として,粉末製剤は保存時の安定性や投与量の確保などの利点が挙げられる.そこで,鼻腔における粉末製剤の溶出性および膜透過性,さらに脳移行性に対する薬物の物性(溶解性,膜透過性)の影響を評価したところ,薬物の物性が各過程に対して異なる影響を及ぼす可能性が示唆され,基礎的な知見を得た.さらに,薬物の脳移行性を高めるために,薬物の鼻腔内滞留性及び可溶化能の向上を期待できるAlbuminを用いたゲル化粉末製剤を作製し,近年新規モダリティとして注目されている中分子ペプチドであるoxytocinをモデル薬物として可溶化能を評価したところ,ゲル化粉末製剤はoxytocinの溶解度を高めることが示され,脳への移行性を向上させる可能性が示された.