2025 年 33 巻 p. 59-65
本研究では,カブトムシ幼虫の消化・粉体化機能に着目し,白色腐朽菌による発酵前処理と昆虫の摂食・排出プロセスを組み合わせた,マイルドなセルロース資源化手法の可能性を検討した.市販腐葉土および白色腐朽菌由来廃菌床を給餌した幼虫の成長挙動と糞の性状を評価した結果,発酵度合いはセルロース抽出量を直接規定する因子ではないものの,昆虫の消化プロセスを介して,摂食後の消化・代謝挙動や糞の崩壊性,漂白処理への応答性に影響を及ぼすことが示唆された.また,中性洗剤による前処理が糞表面の疎水性成分除去に有効である可能性が示された.さらに,糞中の無機成分には雌雄差が認められ,雌雄別評価の有効性が示唆された.本研究は,自然界の分解プロセスを活用した低環境負荷型セルロース資源化技術の基盤を示すものである.