人間科学
Online ISSN : 2434-4753
研究論文
ストレス反応高値と心血管年齢高値には異なる生活習慣が関与する
村谷 博美
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2020 年 2 巻 p. 74-81

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抄録

ストレス反応が高い群とそうでない群の間に生活習慣や身体組成の差があるか,その差は,心血管年齢の高い群とそうでない群の間にも認められるかを調べた。対象は某私立大学の従業員である。職場ストレスはストレスチェックを用いて評価し,ストレス反応の評価点が17点以下を高ストレス反応群,18点以上を非高ストレス反応群とした。心血管年齢は健診成績を用いてD’Agostinoらの方法によって算出し,実年齢より高い群と実年齢以下の群に分けた。多重ロジスティック回帰分析で,高ストレス反応との有意の関連が検出されたのは,男女とも睡眠による休養が不十分だという自覚であった。心血管年齢が実年齢より高い群では,男女とも肥満との関連が有意で,年齢層の影響と独立していた。ストレス反応と心血管年齢に関連する生活習慣要因は異なっており,職場ストレスは古典的な危険因子の集積とは異なる機序で心血管リスクを上げる可能性が示唆された。

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© 2020 九州産業大学
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