抄録
長引く建設需要の冷え込みの中で近年大きな変化が出てきている。それは建物所有者や事業者を取り巻く経営環境が大きく変化したことで、建物に対する新しい価値を見出そうとする意識がそこに芽生えたものだと思われる。つまりそれは建物を一つの経営資源として捉える視点のことであるが、その背景には建物自体の価値をより高く維持することに一層の経営努力を払っていく経営者の姿が理解できる。そこで本論文のテーマは、"建物価値の再認識"という建築リニューアルの領域を、建物所有者がリニューアルに求める価値とは一体何か、またどのようにその価値は創出されるのかを建築のライフサイクルを考えることで、多様な価値観を見せるリニューアルの領域にどのようなサービスモデルが築けるのかを考察するものである。