Journal of Inclusive Education
Online ISSN : 2189-9185
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高等学校における障害のある生徒の就労支援に関する研究動向と今後の在り方
―スコーピングレビューによる検討―
權 偕珍
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 14 巻 p. 202-210

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抄録
インクルーシブ教育の進展に伴い、高等学校に在籍する障害のある生徒が増加している。その一方で、学校現場では就労支援への十分な対応が難しいという課題が生じている。本研究では、通常学校に在籍している障害のある生徒に対する就労支援について、先行研究を体系的に整理・分析し、研究動向と今後の支援のあり方を検討することを目的とした。スコーピングレビュー手法を通して、高等学校における障害のある生徒への就労支援に関する9本の先行研究を抽出した。分析結果、高等学校における就労支援は、主に発達障害を対象として実施されており、自己理解支援、社会性スキルの育成、就労準備教育が行われていることが明らかになった。さらに、現場での体制整備等が十分に追いついていない現状があることも明らかになった。今後の重要な課題としては、①発達障害以外の障害種別を視野に入れた支援ニーズと現状の把握、②教職員に対する特別支援教育および就労支援に関する専門的研修の充実、③外部機関(福祉、医療、就労支援等)との持続的かつ制度的な連携の構築、④多様な障害に対応可能な、標準化された就労支援プログラムの検討と開発の4つが挙げられた。
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© 2025 一般社団法人アジアヒューマンサービス学会
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