抄録
近年、インクルーシブ保育を重視した保育施設が増加しており、発達障害や知的障害等のある乳幼児が保育場面において安心して過ごすことのできる取り組みが進んでいる。しかし、小規模保育事業所におけるインクルーシブ保育の現状は明らかになっていない。本研究では、小規模保育事業所の職員を対象にWEB調査を実施し、インクルーシブ保育の現状とその課題について明らかにすることを目的とし調査を実施した。対象は特別な支援を要する子どもが在籍している小規模保育事業所に勤務している職員117名であった。その結果、「行動を促す際に伝え方を工夫する」といった対応や「保育所全体で支援体制を作る」といった回答が多くみられた。一方、苦慮している点として「具体的な支援方法」、「職員数が十分でない」といった課題が明らかになった。また、個別の支援計画作成に関しては、60%以上が作成していると回答しており、積極的に活用されていることが明らかになった。考察では、関係機関との連携に関する課題や、インクルーシブ保育の実施に伴う職員研修に関して論じた。今後は面接法等を用いることで、より具体的な実態と課題を明らかにすることが求められる。