地上デジタル放送方式として検討されているOFDM方式では、パイロット信号を用いた周波数軸上の等化が可能である。本報告では、パイロット信号を用いた周波数軸上の伝送路応答の補間手法として、ステップ補間、乗算器を用いない簡易形直線補間の各方式についてハードウエア試作をおこない、等化器出力信号のS/Iを測定した。D/U=10dBの2波の時不変マルチパス伝送路におけるS/Iの測定を行った結果、シミュレーション値とほぼ一致する結果が得られるとともに、簡易形直線補間方式は、10μSの遅延波に対してS/I=27dB(受信C/N=30dB)程度の良好な性能が得られ、民生用機器への適用を考えると有効であることがわかった。また、伝送路応答の補間手法の一つである、sinc関数形のインパルス応答を持つFIRフィルタのハードウエア化基本検討として、所要ビット精度についてシミュレーション検討し、タップ係数のビット精度として10ビット程度が必要であることを明らかとした。