揖斐川の河口から7kmおよび15km地点にあるヨシ群落周辺の干潟を定点として,2005年3月から2006年3月にかけての1年間,採集調査を行なった.本研究により19科47種6550個体の魚類が採集された.採集された魚種には海水性,汽水性,淡水性,および通し回遊性のものなど様々な生活パターンを示すものが見られた.これらのうち,汽水性のアベハゼ,ビリンゴ,マハゼ,およびアシシロハゼ,淡水性のメダカ,河川を上下に移動するボラが1年を通して数多く採集された.これら6魚種について,出現状況および体長組成の周年変化を調べた結果,ヨシ群落周辺を生育の場として利用しているもの(ビリンゴ,マハゼ,アシシロハゼ),定住しているもの(メダカ,アベハゼ),移動の際に一時的に利用しているもの(ボラ)に分類された.