日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術を受けた後期高齢者の治療体験と看護支援の検討
冨田 亜沙子井上 智子
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2017 年 13 巻 3 号 p. 93-101

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抄録
【目的】胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(以下TEVAR)を受けた後期高齢者の治療体験を通して療養生活を明らかにし,TEVARを受ける高齢患者への看護支援の示唆を得る.
【方法】75歳以上で調査期間中に外来受診し研究の参加に同意を得られた者に,半構造的面接調査を行い,得られたデータを修正版グラウンデットセオリーアプローチに基づき分析した.
【結果】対象は13名,平均年齢78.3(± 3.9)歳だった.対象者は治療前に低侵襲治療に期待を持つ一方で,手術か天寿全うか葛藤を抱き,治療後は体の負担の軽い手術と感じる者と楽ではないと感じる者がみられた.退院後は「治療と老いの双方の影響で生じた日常生活上の困難」がある一方で,「治療と老いに対して抱いた前向きな価値観」を見出していた.
【結論】後期高齢患者が治療を受けるが故,療養生活において治療の影響だけではなく老いに伴う変化がみられた.そのため,治療後も自立した日常生活が維持出来るような看護援助が重要である.
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© 2017 日本クリティカルケア看護学会
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