日本呼吸器外科学会雑誌
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原発性肺クリプトコッカス症 6 例に対する外科治療の検討
綾部 公懿田川 努村岡 昌司中村 昭博糸柳 則昭赤嶺 晋治辻 博治原 信介田川 泰川原 克信富田 正雄
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1994 年 8 巻 1 号 p. 7-11

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抄録
1992年12月までの18年間に肺クリプトコッカス症切除例を6例経験した.男性3例, 女性3例で, 平均年齢は40.9歳であった.4例は無症状で検診により発見され, 有症状2例中1例は髄膜炎合併例であった.胸部X線上5例は単発腫瘤型で1例は多発結節型であり, 病変の部位は右上葉3例, 右中葉1例, 右下葉1例, 左下葉1例であった.5例は術前に経気管支的または経皮的肺生検により確定診断が得られた.手術の適応となった理由は抗真菌剤の効果不充分または副作用にて継続投与困難3例, 病巣の増大1例, 髄膜炎の再発予防1例, 肺癌の疑い1例である.術式は肺葉切除2例, 区域切除1例, 肺部分切除3例で, 全例重篤な術後合併症はなかった.
6例中1例が術後1年6ヵ月目に, 併存した心不全のため死亡したが, 他の5例は術後2年ないし17年間健在である.術後髄膜炎, 肺病巣の再発はいずれにもみられなかった.
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