2016 年 16 巻 4 号 p. 4_126-4_141
2011年東北地方太平洋沖地震において、強震観測網Small-TitanのCCHG観測点で、震度7相当となる大振幅速度波形(水平2成分合成142kine)が観測された。本論文では、2011年東北地方太平洋沖地震のCCHG観測点で見られた地震増幅特性の整理を行った。CCHGの地震増幅特性を把握するために、CCHG観測点のS波速度構造の推定を目的としたアレー微動観測を実施した。その結果、得られた速度構造から、地盤が線形とみなせる程度の地震動における増幅を説明するためには、工学的基盤以深の深部地盤における増幅を考慮する必要があることを示した。続いて、推定された速度構造をもとに東北地方太平洋沖地震の本震記録の再現を試みたところ、深部地盤の影響を考慮しても、線形解析では観測されたフーリエ振幅スペクトルを説明できないことがわかった。このことから、CCHG観測点において強震時に表層地盤の非線形化が起きている可能性を示唆した。