抄録
東北地方太平洋沖地震の強震動の距離減衰特性と地震動評価式の適用性について述べた。主な知見は下記の通りである。1) Mw1次式を用いた場合は巨大地震を過大評価する傾向があり,断層最短距離、等価震源距離どちらを採用した場合でもω-2モデルに対応した震源項のモデル化が必要である。2) 最短距離を用いた式では振幅の頭打ちの見直しが必要な場合がある。3) 巨大地震では断層の広がりの影響が従来よりも遠方まで及ぶことから,距離の定義により,距離減衰特性の相違に加え,震源項のスケーリングが見かけ上異なる場合があることに注意が必要である。