日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
総説
震災・水害等による都市型複合災害の現状と課題
久田 嘉章
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2016 年 16 巻 5 号 p. 5_12-5_21

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抄録
本論では首都東京を事例とする震災と水害による都市型複合災害の現状と課題を整理し、将来に向けた対応策を検討した。首都圏では2011年東日本大震災における大混乱の経験を経て、国や自治体による首都直下地震などを想定した様々な被害推定が行われ、甚大な災害が推定されている。但し、防災目的の想定結果とは異なり、歴史上のM7級の首都直下地震の大多数は中小規模の災害であることに注意が必要である。一方、今後は震災だけなく、水害(津波・洪水・高潮・内水氾濫)が連続して発生し、大群集の避難に伴うパニックなど最悪な状況を想定した都市型複合災害への対応も必要となっている。事例として新宿駅と北千住駅の周辺エリアを対象として、震災と水害に関する対策の現状と課題を整理した。今後の対策として著者がかかわった関連学会の委員会で検討が行われており、事前対策として災害をできるだけ出さない「逃げる必要のない建物・まち」を目指すとともに、万が一の災害が生じた事後の対応力・回復力の向上が必要となる。そのためには、高い耐震性能に加えて、可能性の高い中小被害から万が一の過酷な災害まで柔軟な対応力を有するレジリエントな都市型施設とまちづくりが求められている。
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© 2016 一般社団法人 日本地震工学会
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