日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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論文
平成28年 (2016年) 熊本地震による液状化発生の特性
若松 加寿江先名 重樹小澤 京子
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2017 年 17 巻 4 号 p. 4_81-4_100

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抄録

本論文は,2016年4月14日の熊本地震の前震と4月16日の本震による液状化発生地点の分布と被害状況を示すと共に,液状化の発生と地震マグニチュード,地震動強さ,微地形区分,土地条件との関係について検討している.液状化の発生は,熊本県下の18市町村に及び,熊本平野と阿蘇カルデラ内の低地に集中していた.本震の震央から最も遠い液状化地点の震央距離42.6kmであり,過去の地震における液状化と比較して小さめの震央距離だった.250mメッシュ単位の推定震度分布との関係を調べた結果,前震・本震共に液状化が発生したメッシュの99.9%以上が推定震度5強以上の地域であった.液状化発生地点の微地形区分は,熊本平野では後背湿地・自然堤防などの河川の氾濫原のほか干拓地で多かった.阿蘇地域では,後背湿地と阿蘇火山山麓に広がる扇状地で多かった.液状化発生が集中した地域における土地条件を調べた結果,河川の氾濫,地形改変履歴,埋土・盛土とその材料,砂利採掘履歴,地下水条件が液状化の発生に大きく影響していたと推察された.

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© 2017 一般社団法人 日本地震工学会
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