2020 年 20 巻 6 号 p. 6_25-6_40
本論文では,国宝彦根城の地震時安全性評価の基礎資料を得る目的で,天守・附櫓・多聞櫓とその周辺地盤の微動計測を行った.建物の微動計測の結果から,天守・附櫓・多聞櫓の固有振動数や建物相互の連成振動特性を分析した.また,面的に行った地盤の単点微動計測より,西の丸や本丸の表層地盤厚さや地山形状の概要を把握することができた.一方,石垣周辺のH/Vスペクトルには,石垣直近を除いて方向性は顕著ではなく,石垣から数m離れた地点では,表層地盤の卓越振動数の他に,石垣周辺地盤の卓越振動数が見られる場合があることを示した.