2023 年 23 巻 4 号 p. 4_70-4_88
構造物の耐震設計で考慮すべきハザードとして,地震動とともに断層変位が重要である.近年,確率論的断層変位ハザード解析に関する実施標準や安全ガイドが策定され,重要施設直下での断層変位を確率論的に照査することに対する社会的要求が高まっている.しかしながら,その実践は世界的にも非常に限られており,国内では特定の構造物を対象として本格的に実践した報告は見当たらない.将来の広範な適用を目指して,まずはなるべく精度の高いモデルに基づく確率論的断層変位ハザード解析を実践し,現状の課題を把握すべきである.本稿では,SSHACレベル3ガイドラインを国内で初めて適用した伊方サイトでの震源特性モデルを活用した確率論的断層変位ハザード解析を実践し,2016年熊本地震の観測データから得られる知見も踏まえた上で,実務レベルでの適用における具体的な課題を報告する.