2023 年 23 巻 5 号 p. 5_21-5_34
本研究では,奄美群島,吐噶喇列島および屋久島の島嶼部の11地点で実施した微動アレイ観測の記録を用いて,S波速度3 km/s相当層の地震基盤までの深部地盤のS波速度構造を推定した.その結果,各地点で1~3層と地震基盤のS波速度を示すことができ,地震基盤上面の深度は,喜界島で最大の約2 kmとなり,ほかの島では,0.2~0.6 km程度であった.また,全地点の推定結果から,4層モデルとした場合の各層のS波速度の平均値と各地点の層境界深度も示した.その際のS波速度の平均値は,0.69, 1.02, 2.18, 3.49 km/sであり,この値は,先島諸島や沖縄諸島のものと近い値になった.こうした結果は,南西諸島の速度構造モデルの改善化のための基礎的な資料として活用することができると考えられる.