日本地震工学会論文集
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論文
緊急地震速報を活用した長周期地震動予測と超高層ビルのエレベータ制御への適用
久保 智弘久田 嘉章堀内 茂木山本 俊六
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2009 年 9 巻 2 号 p. 2_31-2_50

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抄録
 本研究では、超高層ビルを対象に緊急地震速報を利用して長周期地震動を対象としたエレベータの地震時管制運転の手法について提案した.そして、東京新宿区に位置する超高層ビルをキャンパスとして利用している工学院大学新宿キャンパスを対象に提案する手法を適用して有効性の検証を行った.
 緊急地震速報を利用することを前提に、事前に長周期地震動の到達時間とマグニチュードと震源深さ、震央距離ごとの長周期地震動と建物応答を求めておき、エレベータの地震時管制運転を行う条件を整理し、緊急地震速報を受信した際に長周期地震動が到達する前に停止するためのフローを提案した.長周期地震動の到達時間に関しては、理論的方法によって求められた伝播速度を用いた.長周期地震動の大きさと建物応答については、グリーン関数法により長周期地震動を予測し、その結果から建物応答を求めた.停止条件については、既往の研究を参考に長周期地震動用の閾値を求めて、条件を整理した.
 本研究で提案する手法を超高層ビルをキャンパスとしている工学院大学に適用し、観測記録と比較を行った.その結果、到達時間については理論的方法と観測結果から求めた表面波速度がおおむね一致した.次に地震動と建物応答については、平行成層のグリーン関数法による評価は周期4秒から6秒以上においては関東平野における堆積層表面波の影響のため、過小評価となったが、周期2秒から4秒においておおむね一致した.次にエレベータの地震時管制運転への適用について、緊急地震速報から得られる震源情報が限られるため、安全側に評価できるように震源モデルに仮定条件を与えることで、エレベータを事前に停止できることを確認した.
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© 2009 一般社団法人 日本地震工学会
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