抄録
本研究は若手教師が教職の専門性を構築する過程で必要となる他者からの支援に着目し,熟練教師が行う支援の背景にはどのような意図があるのか,支援の背景にある熟練教師の思いを明らかにすることを目的とする。熟練教師の支援の意図を検討した結果,熟練教師の行う支援の背景には二つの意図があることが分かった。一つ目 は若手教師の「現在の」ニーズに応じて支援し,若手教師の主体的実践を支援しようとするもので,二つ目は即 興的判断や熟考が求められる対人専門職である教師として「これから」求められる力を育成するために必要となる支援を目指す意図であった。こうした熟練教師の持つ意図として《ニーズを引き出す意図》,《主体性を引き出す意図》,《主体的実践や理念を尊重する意図》の3点を析出し,こうした意図を持ってなされる若手教師に対する支援が適応的熟達の動機づけ基盤構築を促し,若手教師の熟達を支える支援となり得ることを明らかにした。