抄録
穿孔をきたした急性胃軸捻転症の1例を経験した。症例は72歳の男性。腹部膨満,腹痛を主訴に近医より紹介された。腹部単純X線検査およびCT検査にて,著明に拡張した胃泡と横行結腸の走行異常が認められた。内視鏡検査で胃の変形が強く幽門部までは観察できなかったが,噴門部に胃穿孔が認められ,緊急手術となった。胃は捻転,拡張しており,捻転を整復すると体上部小弯が壊死に陥りその一部に穿孔部を認めた。急性長軸性胃軸捻転症に続発した胃部分壊死,胃穿孔およびそれに伴う汎発性腹膜炎と診断し,胃全摘術を施行した。急性型の胃軸捻転症は血流障害を起こすことがあり迅速な診断が必要である。