2015 年 35 巻 3 号 p. 261-265
膵頭十二指腸切除術(Panccreatoduodenectomy:以下,PD)では術前に閉塞性黄疸を伴うことが多く術前胆道ドレナージが本邦を中心に一般的に行われてきた。一方,近年,術前胆道ドレナージは胆道感染症を引き起こし,それが感染に関連する術後合併症へとつながる可能性が報告されている。加えて,PD術後合併症で最も問題となる膵液瘻発生と術前胆道感染症との関連性も指摘されており,術後合併症防止のため,術前胆道感染対策が重要である。本稿ではPDおける術前胆道ドレナージの諸問題ならびに膵液瘻をはじめとするPD術後合併症と術前胆道感染症との関連について概説する。