2019 年 39 巻 5 号 p. 983-987
膵切除後の膵液瘻に関連した腹腔内膿瘍に対しては,経皮的あるいは経胃的ドレナージによる治療が基本であるが,困難な場合も多い。今回,これらのドレナージが困難な腹腔内膿瘍に対して,経乳頭的ドレナージが有効であった症例を経験したので報告する。症例は77歳,男性。腎細胞癌膵転移に対して膵中央切除術を施行した。術後8病日に軽快退院したが,14病日に食思不振のため再入院し,CT検査で膵頭側断端付近の腹腔内膿瘍と診断した。膿瘍腔は腹壁や胃と接しておらず,ドレナージは経皮的にも経胃的にも困難であったため,内視鏡的逆行性膵管造影により自動縫合器で縫合閉鎖された膵断端を物理的に貫き経乳頭的に膵管を介してドレナージチューブを膿瘍腔に留置した。粘稠な排液のためチューブ閉塞を複数回きたしたが,内外瘻ステントを併用することでドレナージが良好となり85病日に軽快退院した。