2025 年 45 巻 3 号 p. 422-425
症例は86歳,男性。腹痛を主訴に受診され,上腹部に腹膜刺激徴候を認めた。腹部造影CTで十二指腸水平脚の壁の途絶と,同部から膵背側および十二指腸背側の後腹膜に連続するように気腫像を認めた。後腹膜気腫を伴う十二指腸水平脚の穿孔の診断で緊急手術を施行した。Kocher授動を行うと十二指腸水平脚背側の後腹膜に膿瘍形成を認め,穿孔部と判断した。下十二指腸角の肛門側からTreitz靭帯より肛門側10cm程度の上部空腸までを部分切除した。十二指腸下行脚と空腸とを側々吻合し,胃空腸吻合および腸瘻造設を併施した。術後に胃内容排泄遅延が遷延したが経時的に改善が得られ,術後31日目に自宅退院した。病理組織学的検査所見で十二指腸水平脚の憩室周囲の炎症と腸管気腫を認めた。十二指腸水平脚の穿孔を疑った際の手術治療においては,Vater乳頭部を確実に温存した十二指腸部分切除と術後経腸栄養管理が重要と考えられた。