2025 年 45 巻 4 号 p. 489-492
症例は78歳の女性で,大動脈弁狭窄症,狭心症に対して大動脈弁置換術,冠動脈1枝バイパス術を施行した。術後抗血小板薬・抗凝固薬(アスピリン100mg,ワルファリン2mg)を投与した。術後17日目に心窩部痛と黒色便が出現し,腹部造影CTを行ったところ,胆囊の腫大,緊満,内部の高吸収域を認め,出血性胆囊炎と診断し,緊急で開腹胆囊摘出術を行った。胆囊は腫大し,色調不良であった。抗凝固療法中であり術中止血に難渋した。摘出した胆囊内には凝血塊を認めた。術後経過は良好で,術後13日目に退院した。抗凝固療法中の出血性胆囊炎はまれであり,とくに開心術後の報告は少ない。抗凝固療法中の心窩部痛やタール便を認めた場合は消化管出血のみでなく,出血性胆囊炎も念頭に置く。