抄録
本研究の目的は,小学校家庭科「家庭生活と家族」の学習に適した市販絵本を選定するとともに,その選定のポイントを明らかにするものである。まず初めに,家族を描いた100冊の絵本から,学習指導要領の内容を含んだ9冊を調査用絵本として抽出した。それらの絵本を用いて大学生と小学生に読み取りの調査を行った。分析の結果,両者から高く評価された3冊の絵本が適切な教材として選定できた。さらに,両者の評価にずれが生じた絵本について,その理由を調査した結果,絵本を選定するためのポイントが示唆された。ポイントは, 1)学習内容がわかりやすいエピソードで描かれていること,2)登場人物の気持ちや場面設定が絵と言葉によって限定できること,3)理解させたい学習用語や概念が文章によって表現されていること,である。