抄録
本研究では,小学校におけるタブレットPCを活用した国際交流プログラムによって,期待する資質・能力がどのように変容するかを調査した。開発したプログラムでは,日本とオーストラリアの小学校を対象として,「相手国の文化を理解する」ことをテーマとした探究的な学習過程を組んだ。この中で3度に渡ってタブレットPCのビデオ通話機能(音声と動画で通話をする機能をビデオ通話機能とする)を活用した交流を行った。この交流の事前および,毎回の交流後に,両国の児童を対象として,以下の4種類の資質・能力についての意識調査を行った:①交流のためのスキルに関わる「コミュニケーションスキル」および「情報活用能力」,②深い異文化理解につながる「交流に対する情意や意欲」および「学びに向かう力」。その結果,探究的な学習過程の中で,タブレットPCを活用して,小人数同士で,文化的事項についての質疑応答を行う交流を繰り返し行うことによって,両国の児童において,それぞれの資質・能力に関する意識の向上が見られた(「学びに向かう力」については,オーストラリアの児童に天井効果が見られた)。