抄録
本研究では,義務教育段階のICT教育実践事例における「ICT活用の背景と目的・ねらい」の記述を対象に,計量テキスト分析を用いてその特徴を検討した。ICT教育活用実践事例集からテキスト型データを抽出し,コーパスを作成した上で,共起ネットワークによる可視化を実施した結果,児童生徒が主体的に考える授業実践が中核にあることや,生成AIの活用が新たな主題として浮上していることが明らかとなった。また,学年区分を用いた対応分析の結果,低学年では感性の拡張や他者との共有,中学年では教科の専門性深化や個別最適な学び,高学年では社会課題の解決や探究的な学びへと,発達段階に応じて目的・ねらいが変容していることが確認された。こうした結果から,児童生徒の発達段階に応じたICT活用の目的の変容と深化のプロセスが可視化され,ICT活用が操作習得の段階を超え,新しい学びを創造するフェーズにあることが示唆された。