日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
症例報告
非常に稀な耳下腺転移をきたした甲状腺乳頭癌例
笹井 久徳古川 雅史平井 崇士伊東 眞人
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2014 年 31 巻 2 号 p. 150-153

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抄録
耳下腺腫瘍はその大部分は良性腫瘍であり,転移性耳下腺腫瘍となると耳下腺腫瘍全体のごく少数を占めるに過ぎず,さらに甲状腺癌からの転移となるとその報告は非常に稀である。症例は72歳女性で左耳下部の腫瘤を主訴に当科を受診。10年前に甲状腺癌に対する手術既往例があり,CT画像にて左耳下腺内に約40mmの腫瘤を認めた。同部からの穿刺吸引細胞診にて乳頭状集塊の異形細胞を認め,一部に核内細胞質封入体や核溝を認めたことから甲状腺乳頭癌からの転移が疑われた。甲状腺補完全摘術,左耳下腺腫瘍摘出術を勧めるも甲状腺残存葉摘出の同意は得られなかったため左耳下腺腫瘍摘出術のみをおこなった。術後の顔面神経麻痺は認めず,病理検査にて甲状腺乳頭癌の転移と診断された。初回手術から10年以上経過後に耳下腺転移をきたした稀な症例ではあるが今後もできるだけ長期に及ぶ経過観察をおこなっていく必要性がある。
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